性感染症は性的接触を介して感染する感染症で、HIV(エイズ)感染、クラミジア感染、性器ヘルペス、梅毒などがあります。その中でもHIV(エイズ)感染は予防できる病気にもかかわらず、日本では年間約1000人が新たにHIVに感染しています。血液が付着した歯ブラシや剃刀を共用すること、消毒が不十分な器具を使用したピアスの穴あけ・ピアッサーの使いまわし、刺青(タトゥー)の刺入でも感染する可能性があります。また、コンドームは避妊目的だけで使用するものではなく、HIV感染予防にも有効です。男性同性間のコンドームを使用しない性的接触は、HIV感染のリスク要因であることが明らかになっています。「HIV(エイズ)は過去の病気」「自分はHIV(エイズ)と関係ない」は誤りです。
一方で、性感染症は「性行為でしかうつらない病気」ではありませんし、コンドームだけでは防げない性感染症があることにも注意が必要です。クラミジアや性器ヘルペスは、最近、口腔・咽頭への感染が目立っています。
あなたの大切な体を守るためには正しい知識を持ち、確実に感染を予防することがなにより大切です。パートナーと性感染症について話し合いましょう。
感染しても無症状であることも多いため、性感染症に罹患した可能性を考えた場合には、症状の有無にかかわらず、早めに検査を受けましょう。(ただし、HIV感染のように潜伏期間が長く、検査結果が陽性に出にくい時期があるものもあり、検査結果が陰性であっても一定時間をおいて再検査を行ったほうがいい場合もあります。)男性の場合は泌尿器科、女性の場合は婦人科、湿疹等の皮膚症状なら皮膚科、 のどの症状であれば耳鼻咽喉科を受診してください。
性感染症にかかった場合は医師の指示のもと、きちんと治療を続けることが重要です。自覚症状が軽くなったからといって自己判断で治療を中断することはやめましょう。放置すると、不妊や流産の原因になったり、新生児が結膜炎や肺炎になったりする可能性のある感染症もあります。
そして、パートナーも必ず検査しましょう。性感染症にかかったとしても、必ずしも性行為のパートナーのせいとは限りません。性行為とは無関係に、知らないうちに自分が感染したかもしれませんし、同じように知らないうちに感染したパートナーから性行為を通じて感染してしまった可能性もあります。お互いに感染してしまういわゆる「ピンポン感染」があるため、パートナーの治療も同時に行う必要があります。